従来の竹島をめぐる議論の大部分は、領有権論議(国家の枠組みに準拠した視角)に収斂され、竹島という存在に影響を受けざるを得ない地域・人々の問題をなおざりにしてきた。一方、竹島を行政区域に含む地方自治体は、地域の実情ではなく、国家のレベルの事象において竹島をめぐる行態を左右させてきた。竹島周辺海域は印象的に語られるほど豊富な漁場ではない。李承晩ラインにより拿捕された日本漁船のほとんどすべては、竹島周辺海域に出漁したものではない……等々。本研究は既存研究に潜む多くの問題を修正しようと努めてきたのみならず、神話化された既存言説の誤りを実証的に明らかにした。
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