研究概要 |
本研究の目的は,トルコの加盟問題をめぐるEU内部での「ディスコースと認識の変容」および「政策形成過程」の分析を行うことである。中心となる関心は,トルコの加盟問題は長らくEUにとって想定外とされていたにもかかわらず,なぜ1990年代半ば以降この問題が再浮上し,なぜ2004年に加盟交渉の開始が原則決定されためか,という点にある。初年度の今年に関しては,先行研究の整理を実施した。EUの対外政策においてそもそも拡大政策がどのような位置を占めているのか,そしてそのなかでトルコの拡大問題がど|のように位置づけられているのかについて,EU対外政策について(主に英語で)発表された文献を収集し,読み込んだ。また同問題については,米国の歴代政権が,トルコのEU加盟を後押しする意図を持って積極的にEUに関与しようとした経緯も浮かび上がってきたため,米国の対トルコ政策が明らかになるような文献についても調査・収集した。これを通じ,トルコのEU加盟問題をめぐる米欧の相克(の現状)についてある程度明らかにすることが出来たものの,こういった相克が具体的にトルコの加盟プロセスにどのように影響したのかについては次年度以降にさらなる調査が必要であると感じている。また,2007年9月にはベルギーのブリュッセル自由大学ヨーロッパ研究センターで,同問題に関する資料収集を実施すると同時に,識者へのインタビューを実施した。これらの成果の一部は下記11で公表している。
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