研究では、トルコの加盟問題をめぐるEU内部(加盟国政府およびEU諸機構の政治指導者)のディスコースと認識の変遷およびEU内部での政策決定過程(欧州委員会による対トルコ戦略形成過程、理事会などの場における意思決定過程)を分析する。具体的には、トルコの加盟問題をめぐるEUの立場の形成過程を4つの段階に分け、(1)トルコの加盟問題をめぐるEU内部(加盟国政府およびEU諸機構の政治指導者)のディスコースと認識の変遷、および(2)EU内部での政策決定過程(欧州委員会による対トルコ戦略形成過程、理事会などの場における意思決定過程)の2点を集中的に分析する。その際、(3)同問題を検討する上で重要な手がかりとなる諸概念(例えば、同国の加盟の代替措置として議論されがちな「特権的パートナーシップ(Privileged Partnership)」や、EU側の受け入れ態勢の程度を問う「吸収能力(Absorption Capacity)」など)の検討、(4)トルコの加盟問題の進展に直接・間接の影響を与えうるEU対外政策(当面はEU拡大の対象とならない諸国との関係強化を目指す「欧州近隣諸国政策(European Neighbourhood Policy)」や、西バルカン諸国とEUとの加盟交渉)などの動向の検討、(5)マスコミの報道振り、など、同問題を取り巻く諸要素についても複合的に検討する。
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