研究概要 |
平成20年度は, 主として(1) 資料収集, (2) 論文執筆, (3) 研究成果の公表の三つの点で研究実績をあげることができた. 第一の資料の収集については, 当初予定していた海外での資料の所蔵調査が, 休暇期間中の体調不良のため実施できず, そのため, 国立国会図書館や外交史料館をはじめとする国内各種文書館, 各大学図書館, さらに附属研究所等において関連資料の収集をおこなった. 収集の対象となったのは, 戦前に台湾総督府や拓務省関連機関から刊行された東南アジアの法制資料であり, とりわけ, 国籍および民法(家族法関連法規)に関する資料を収集した. 家族法関連法規は, 当時の婚姻規定を調べることに目的があったためである. また, 第二に, 前年度の研究成果の一部を論文として執筆, 学会誌に投稿し, 査読を経て掲載に至った(「文明・法・人種 : 『日本人法』制定過程の議論から」『東南アジア : 歴史と文化』第37号). この論文により, 本研究の基礎となる法制定過程について実績をあげることができた. 第三に, 広く社会に研究成果を還元するため, ホームページを設置した(http://www.fwu.ac.jp/la/avanti/). ホームページでは, これまでの研究に関する経緯をまとめるとともに, 助成対象となっている研究情報の整理と発信に努めた. さらに, 研究実績となる一部論文についてもデジタル化したうえで, ホームページ上で閲読が可能な措置を講じている. これら中核となる研究実績に加え, 関西を中心に各地で開催された東南アジア関連の研究会に出席し, 研究上の知見を広めることができた.
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