研究課題
本研究はこれまでの研究にもとづき、9.11後の世界においてグローバリゼーションにより生み出された人間安全保障の欠如と国家に対する安全保障上の脅威との関連についてさらに考察を深めることを目的としている。今年度の研究概要を以下の4点において述べる。1シーク教徒のNGO団体であるUnited Sikhsにインタビューを行った。United Sikhsはフランスの学校において宗教的シンボルとなる服装を身につける権利を制限する法律に反対する活動を行っている団体である。フランスの学校のシーク教徒の子ども達は法律でターバンを身につけることを禁止されており、これまでにもこの法律に反した6人の子どもが退学となった。筆者はUnited Sikhsのディレクターにインタビューを行い、欧州裁判所の法律を覆すことを試みる彼らの活動について聞き取り調査を行った。2これまで継続的に行ってきた、博士号論文、科研費による研究からさらに考察を深め、まとめた結果を出版した。「Sikh Nationalism and Identity in a Global Age」(出版社:英国Routledge)12月出版.この本は南アジアの民族・宗教的コミュニティの包括的なケーススタディについてまとめているため、この分野の研究プロジェクトにとって大きく貢献できたと思われる。3次にこれまで行ってきたシーク教徒に関する研究と国際関係との関連について考察を行い9月にイタリアのトリノで行われた、ヨーロッパ国際関係学会(SGIR)「宗教と国際関係について」において報告を行った。4人間安全保障ついて、アメリカ合衆国、サンフランシスコで開催された(平成20年3月)ISA学会(学会出席のための渡航費等は科研費を含まず)参加のための論文作成と発表のための準備(資料、書籍等は科研費による)によって、批判的な人間の安全保障の理論的枠組みについて研究を進めた。
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Cambridge Review of International Affairs, 20
ページ: 417-434