平成20年度はDSGEモデルの定常均衡に関する研究を行った。定常均衡を考えるときにまず直面する問題は、定常均衡が存在するのかどうか、また、もし存在するのであればそれが一意であるかどうか、ということである。加えて、数値計算を考えると、定常均衡の安定性に関する性質も検討しなければならない。そのため、DSGEモデルの定常均衡の存在、一意性、安定性に関する研究を同時に行った。 1 西村和雄との共同研究で、commodity pricing modelの定常均衡に関する研究を行った。 そのモデルに関する今までの分析はすべてただ一つの財を考えていたが、我々のモデルは複数の財を同時に考えるものであって、その多次元の状況で定常均衡の存在、一意性と安定性を証明した。 そして、均衡計算の新しい方法を導入して、Python言語で経済主体の意思決定ルールと定常均衡を計算した。この研究の成果はJournal of Mathematical Economicsで出版された。 2 菊地朋生との共同研究で、2ヶ国モデルで資本市場の定常均衡と安定性を分析し、あるパラメータの価値でendogenous cyclesが存在することを示した。この研究の成果はJournal of Economic Theoryで出版された。
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