ネットワーク外部性があるサービスであるSNSについて、無限期間のダイナミックゲームのモデルを構築し、部分ゲーム完全均衡について分析を行った。その結果、ネットワーク外部性があれば満たされると考えられる効用関数の性質から、全てのマルコフ完全均衡が、ユーザーの余剰最大化となるための必要十分条件を導いた。また、アクティブに行動する人が、対称マルコフ完全均衡では一人もいないという状況になる必要条件を導いた。さらに、ユーザー余剰最大化を導くためのインセンティブ設計の方法を提示した。SNS上で活性化を行う上で有意義な知識であると考えられる。 SNS上の活性化実験について、ユーザーの日々のデータをパネルデータの形に加工し、分析を行った。その結果、活性化インセンティブ期間の後も、有意にその効果が継続している事が分かった。 ネットワーク外部性がある財の販売方法である返金特約付予約券販売方式についての実験は既に行っていたが、この方式がより簡略化した方式であるチープトークと比較しても効果が高いか否かを検討するために、チープトーク実験を行った。チープトークは、社会的余剰を上昇させる効果があるものの、その効果は、返金特約付き予約券販売方式と比較すると低い事が示された。さらに、予約券の金額を0円とする無料予約券についても実験を行った。無料予約券は、チープトークよりも社会的余剰を上昇させる傾向があるが、予約券の金額を50円に設定した場合の方が社会的余剰が上昇する事が分かった。
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