研究概要 |
申請者の研究の全体構想は、設立時から現代に至るLSE(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス・アンド・ポリティカル・サイエンス)研究である。LSEは現代経済学の生成と発展を考量する上で重要な研究対象である。なぜなら、LSEは、1895年にウェッブ夫妻やフェビアン協会によって設立された小規模な学校であったにもかかわらず、ベヴァリッジが学長に就任した1919-1937年に大学規模が発展して,1930年代には、ロビンズ、ハイエク、カルドア、ヒックス、ラーナー、コースらの「ロビンズ・サークル」を生んだからである。戦後においても、LSEは、再びロビンズの下に、ボーモル、ピーコック、ハーン、ミード、森嶋らが集ったり、多数のノーベル経済学賞受賞者を輩出したりするなど、現代経済学の形成に重要な役割を果たしている。本研究は、こうしたLSEの意義を重視して、経済学の生成と発展に重要な役割を果たした「両大戦間期のLSE」に光をあてる。 本研究は、具体的に以下の七つのトピックに分けられる。 (1) LSEにおける大陸経済学の受容と展開-「ロビンズ・サークル」の役割 (2) LSEとケンブリッジー対立と協調、LSEのケンブリッジ疎開 (3) LSEにおける「ケインズ革命」の群像-カルドア、ヒックス、ラーナー (4) 「プラント・グループ」(プラント、コース)による企業組織・企業理論の研究 (5) 国際的な経済学研究機関-講義科目、LSEの施設拡張、招待講演、特別講義の調査 (6) Academic Assistance Councilの創設-ベヴァリッジ、ロビンズ、ミーゼスによるユダヤ学者救出 (7) LSEの知性史-ドールトン、キャナン、ロビンズ、ラスキ、カルドア、ヒックスらの知的交流
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