研究概要 |
政策効果計測のための計量分析の枠組みについて理論的枠組の研究とデータへの適用を行った.社会保障制度やその他の制度変更に伴う制度変更に伴う効果を計測する際,実際に観測されるデータは,変更前・変更後それぞれの状態でしか観測されず,同一主体に対して制度変更を適用した状態としない状態を観測することができないことが多い.しかしながら,観測できる状態と仮想的な(欠損した)状態を比較することで変更の効果計測を行うことが多いため,こうした種類のデータを扱う枠組みが必要とされる. 今年度の研究では,上記の分析を従来スイッチング回帰といわれる枠組みで分析する方法について考察を行った.誤差項に関する正規性の仮定や非線形的な説明変数の効果をとらえ得るセミパラメトリックモデルに拡張した,マルコフチェイン・モンテカルロ法を提案し,規制市場への新規参入が競争促進効果を持つかどうかという問題へ適用し.論文としてまとめている(Retail Power Market Competition with Endogenous Entry Decision-An Auction Data Analysis).具体的には電力の小売り市場のデータへ適用し,従来の結果(「小売電力入札における応札意思決定と自由化の競争促進効果」として公刊済み)は一部の変数の選択によって推定結果が大きく変化したことに比べ,モデルの特定化に関して頑健な結果が得られた.この成果をセミナー等で報告・意見聴取し改訂を行った.近日中に投稿予定である.
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