前年度に引き続き、大学学部データの電子データベース化を行った。今年度は1999年、2000年、2001年、2002年、2003年のクロスセクションデータの入力が完了し、昨年入力文と合わせて合計9年分のデータが利用可能となった。(パネルテータ化は完了していたい。)またコーディング・マッチングの完了した一部テータを用いて職階別大学教員の雇用創出率・雇用喪失(JC・JD)インデックスを計算したところ、独立法人化前後で量変数が上昇していることがわかった。ただし昨年の報告書で指摘した欠損値に関する処理を行っておらず、この結果はあくまで暫定的なものである。欠損値の補完に関し、JC・JDインデックスの母集団モデルを開発中である。これはモデルをベースにしたデータ補完に役立つだけではなく、連続的な説明変数(学生数など)がJC・JPに与える効果を推定する際に有用と思われる。既存研究では、JC・JDインテックスの母集団モデルを論じたものは無いようである。 大学教員数の離散性に関し、離散パネルデータの動学ランダム効果モデルの開発を行った。(ただし大学データベースのパネルデータ化が未完であったため、別のパネルデータへの応用となった。)この成果は2008年7月に開催されたFar Eastern and South Asian Meetin of the Econometric Societ(Singapore Management University)で報告された。このモデルは二値反応変数に関するものであるが、教員数のようなイベントカウント変数への応用も容易であると思われる。
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