研究概要 |
株価収益率の非対称性は、70年代後半ごろから知られるようになった。この現象は、当期の株価収益率の下落が、次の期のボラティリティの増加につながることから、リバレッジ効果と呼ばれている。申請者の過去の研究Asai/McAleer(2005,2006)から、このリバレッジが変動しているのではないかと予想される。 平成19年度は、時変動リバレッジのモデル化と推定方法を確立に主眼を置いて、研究を行った。特に、5分次データが手に入るまでの間、日次のレンジ・データを代理変数として用いた。この成果は、論文Asai/Unite(2007),"Asymmetric Stochastic Volatility Models Using Range Data: Estimation and Empirical Evidence from Emerging Equity Markets"としてまとめられた。確率的ボラティリティ(SV)モデルの枠組みで行った研究は、論文Asai/McAleer(2008),"Alternative Asymmetry in Stochastic Volatility Models"として、執筆中である。ここまでの研究から、マルコフ連鎖モンテカルロ法を使うよりも、モンテカルロ尤度法を使う方が、簡便であることがわかった。今後は、5分次データを用いて、考案したモデルについて、実証分析を行っていく。
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