従来の公共経済学・財政学における政府行動の分析においては近隣の政府の行動を明確にモデルに含めることは少なかった。過去の近隣からの影響をも含めた時空間的影響を考慮してこなかった主な理由は、その影響が小さいからというよりも、むしろ分析の困難さであったかと思われる。しかしながら、昨今の時空間自己相関モデルや計量手法の発展により、時空間的影響をより容易に考慮できるようになっている。時空間的影響をモデルに追加しうる分野は多く、またその追加による分析の可能性は非常に広範囲に及ぶと思われるが、本研究では特に具体的な適用分野として市町村財政の時空間自己相関モデルを考えている。 平成20年度には引き続きサーベイを進めるとともに、初年度の研究の成果を国内外の学会(「空間自己回帰モデルによる市町村合併パターンの評価」論文の国内学会(日本経済学会・土木計画学研究発表会)、国際学会(55th Annual North American Meetings of the Regional Science Association International)で発表し、他の研究者と議論を行った。また、研究成果については積極的に国際的な学術雑誌に投稿した。
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