研究概要 |
教育成果の決定要因について研究を実施した。具体的には、国際数学・理科教育動向調査(Trends in International Mathematics and Science Study,略称TIMSS)の2007年調査の結果を用いて、小学4年生と中学2年生の数学の成績を対象とした教育隼産関数を推計し、生徒個人の成績に影響を及ぼす要因を特定した。 実証分析の結果明らかになったのは、(1)児童・生徒本人およびその家庭の要因の影響が強い、(2)学校に対する物的・人的資源投入の効果は限定的で、頑健な効果は確認されない、(3)少人数指導や習熟度別指導には一定の効果がある、の3点である。この研究結果は、国内のデータを用いた数少ない分析であることに加え、教育政策や教育財政の観点からも有益な情報を提供するものであると考えている。また、児童生徒の家庭的背景が成績に強く影響していることを踏まえれば、教育達成には世代を通じた側面があることも示唆される。
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