研究課題
本研究は、2007年度から3ヶ年計画で、中国におけるエコラベルに関する経済分析を最終目的としている。初年度には、研究実施計画の通り、消費者のエコラベルに対する意識および選好に関する現地調査を行った。具体的な手段および結果は以下のように列記する。(1)個人の環境への関心度に対する社会・経済的影響要素の実証分析エコラベルの予備調査として、中国で人口密度が最も高く、経済発展のトップ都市上海でのアンケート調査を実施し、中国における環境への関心に対して、どのような社会的・経済的要素が影響するかを分析した。主な結果として、近年、上海市民の環境への関心度は大幅に高まってきたことが分かった。また、社会経済特性の一つである教育水準が個人の環境への関心度に重要な役割を果たしていることから、中国においては、環境改善のために、人々の所得が増加する経済政策の確保と同時に、国民全体の教育水準を向上させる政策が適切に実施されることの重要性という有用な基礎情報を提供した。(2)エアコン・冷蔵庫の購買行動にエネルギーラベルの役割に関する実証分析選択型実験法を用いて、上海でのアンケート調査を通じて、エコラベルの一種類であるエネルギーラベルが消費者のエアコン・冷蔵庫の購買行動に与える影響を分析した。その結果として、エネルギーラベルが消費者の購買行動に大きく左右していることが分かった。そして、エネルギー効率が高ければ高いほど、消費者の効用が上がることも推定結果から示されている。(3)中国エコラベルに対する支払い意思額の実証分析中国でのウェーブ調査結果に基づいて、7種類の中国エコラベルがつけられている商品に対して、環境意識が高い消費者、エコラベル商品を購入した経験がある消費者は支払い意思額が高いことが分かった。またエコラベルへの支払い意思額に対する決定的な影響要素の実質を分析した結果、消費者の性別、年齢、教育水準と所得水準の相違が支払い意思額に対して、重要な役割を果たしていることも明らかになった。
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Journal of Environmental Psychology 28
ページ: 42-50
Discussion Paper in Osaka School of International Public Policy, Osaka University DP-2008-E-001
ページ: 1-21
Discussion Paper in Osaka School of International Public Policy, Osaka University DP-2007-E-005
ページ: 1-32