研究概要 |
今年度は, 以下の2つのテーマについて研究を行った。まず, 1点目は廃棄物処理業者の行動をモデル化することで行政の不法投棄対策が処理業者の不法投棄行動やリサイクル行動にどのような影響を及ぼすのかを明らかにした。また, 行政による不法投棄対策の情報を開示することが, 処理業者の不法投棄行動を抑止するとともに行政の不法投棄対策に費やす予算を削減できることを示した。この研究の結果は, 産業廃棄物不法投棄対策における情報の重要性を示唆したものであり, 興味深い政策的インプリケーションを提示している。 2点目は家計のごみの分別行動と企業の環境配慮型製品のデザインについて経済モデル分析を行った。家計による適正なごみの分別はリサイクルを促進し, 資源循環型社会を構築する上で重要であるが, ごみの分別行動は家計に対し不効用をもたらす可能性がある。本研究では, ごみの分別の複雑化が家計の行動, そして社会厚生にどのような影響を及ぼすのかを明らかにした。また, 行政のごみ処理政策が家計の分別行動および企業の環境デザイン投資水準に及ぼす影響を明らかにするとともに, リサイクル製品市場が成立するための条件を導出した。この研究の結果は, 資源循環型社会を実現するためのごみ問題に対する行政の政策のあり方に対しひとつの方向性を示したものといえる。
|