研究実施計画に沿って研究を進めた。[1]計量経済分析[2]国内学会での報告[3]査読制専門雑誌への投稿[4]国際学会での報告申込み(報告希望論文採択) 08年7月に論文「入院医療サービスの垂直的公平性と負担金の財政調整」を医療経済学会で報告した。同論文の改訂版である「入院医療サービスの垂直的公平性と負担金の不平等度」を査読制専門雑誌に投稿し、審査を仰いでいる(09年3月18日に研究論文として「条件付き掲載可」)。他方、09年7月に開催される国際医療経済学会において論文"Vertical Equity and Inequality of Allotments for Japanese Municipal Hospitals"を報告できることが決定した。この論文では、近畿地方の市町村立病院のデータを用い、以下を明らかにした。(1) 健康状態が悪い地域への繰入れを重視すると、入院患者数(1日平均)に対して患者あたり負担金が垂直的に不公平となる。(2) 処置・手術比率が高い病院ほど病床利用率が高いが、病床利用率が低い病院ほど入院患者あたり負担金が高い。(3) 患者あたり負担金を構成する要素のうち入院患者あたり負担金の不平等度が最も大きい。平成17年度に医師あたり外来患者数の不平等が大きくなり、患者あたり負担金の不平等の要因が変化した。(4) 患者の地域間移動を考慮に入れなければ、医師あたり外来患者数の病院間格差を過小に評価し、患者あたり負担金の不平等度を過大に評価する。
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