研究概要 |
英国の2000-05年の労働力調査個票より特別集計した, 前職と現職での職業間移動のマトリックスから, MDS(多次元尺度法)をつかって「転職地図」を作成した. 「転職地図」とは, 転職移動が多く質的に似ている職種を近傍に, 質的に異なっており転職が困難な職種を遠方に配置した, 職業の性質を可視化したものである. 英国の標準職業分類SOC2000の小分類81職種について転職地図を作製したところ, 技術レベルと技術内容と解釈できる二つの座標をつかって二次元平面に職業間の関係を可視化した地図を作成することができた. この地図を使用して, 職業ごとの賃金や失業率・求人率などの労働市場変数を,空間統計学の手法であるKrighg(空間的回帰分析)をつかって推計した. 詳細な職種についての労働市場統計は一般にサンプルが小さいために誤差が大きいが, 転職地図上で似かよった職種の統計値と相互比較することにより誤差を抑制した推計が行える. これらの研究成果は,労働市場研究の国際学会にて発表した. この成果を踏まえて, 産業・職業構造が転換する際に, 職業間の転職移動が高まるところや職業移動のボトルネックを研究できるが, これは現在研究過程にある.
|