研究概要 |
1850年代からロシア革命直後の1918年までの間か帝政ロシア内務省統計委員会が刊行した公的資料全てか併せ, 在ロシア連邦「ロシア国立経済文書館」のみが所蔵する第二次世界大戦およびスターリン時代の秘匿されてきたソ連閣僚会議付属中央統計委員会資料を用い, 帝政ロシア及びソ連・新生ロシアの統計制度・人口統計整備手法を概観すると共に, ソ連崩壊後の新生ロシア領域に基づく人口統計を一次資料に基づいて構築した。そして帝政ロシア末期を含む20世紀初頭から新生ロシアに至るまでの長期的人口動態を把握することが出来た。帝政ロシア・ソ連そして新生ロシアの人口動態に関する先行研究は膨大であるが, そこでは帝政ロシア期を扱うものとソビエト以降のそれとの間の断絶は大きく, そして原資料に依拠した研究は欧米はもちろんソ連・ロシア本国においても極めて限定的である。本研究課題では, 一次史料に依拠して100年の期間で獲得可能な限りの統計を揃えると共に, 現ロシア連邦の領域への統一を可能な限り試みた。通史的にロシアの発展を描く上での最も基礎的な情報を揃えることを実現したものである。 また地域経済の実態については, ロシア極東地域をそのケースとし, ソ連時代の開発計画が当該地域か与えている負の影響を見るとともに, 現今の経済動態と外国経済関係との相互関係を検討した。否定的な地理的条件を抱える極東・東部シベリア地域の展望は厳しく, そこからの大量の人口流出には合理性のあることを示した。
|