研究概要 |
今年度は、基本的な資料として、(1)専門雑誌や統計資料(『月刊半導体・FPD』各月号、『韓国半導体産業年鑑』各年版など)を通じた最新データの収集、(2)半導体企業の事例分析(ソン・ビョンホほか『ハイニックス半導体ノ革新事例ノ分析オヨビ評価研究』韓国科学技術企画評価院,2006年など)に関する文献収集、(3)政府政策(産業資源部/産業研究院『次世代成長動力拡充ノタメノ半導体産業ノ投資ロードマップ』2007年3月など)に関する文献資料の収集をおこなった。また、韓国半導体産業の技術革新がどのような基盤のもとでおこなわれているかを把握するために、韓国の半導体業界関係者(サムスン電子関係者、元ハイニックス半導体関係者、半導体製造装置企業など)、大学関係者(韓国科学技術院、嶺南大学校など)、政府機関(産業資源部技術標準院など)を訪問し、聴き取り調査を実施した。その結果、韓国の半導体企業における開発現場の中核的なエンジニアは(とくに戦略製品とするメモリの場合)いまや韓国の大学出身者が大半を占めていること、韓国の理工系大学では1970年代から米国の先進的な半導体教育を取り入れつつ半導体企業の即戦力となり得る人材の供給源を確立してきたこと、韓国企業がキャッチアップを果たした頃から韓国の大学では個別企業に合わせた人材教育をおこなうなど教育面での産学連携が密接になったこと、等の事実が明らかになった。 今年度の研究成果は、その一部が学会誌に掲載予定である。また、アジア経済研究所の研究プロジェクトの成果報告書(奥田聡・安倍誠編『韓国主要産業の競争力』2008年刊行予定)所収の論文にも反映されている。
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