研究概要 |
1.[研究内容・意義] 現在、日本経済は産業構造の大きな転換過程にあると考えられる。それは各産業における就業者数の変化等に現れている(例えば、2002年-2009年の就業者数変化:製造業-129万人,医療・福祉関係+147万人、2000年代中期以降完全失業率:4%→5%超へ上昇など)。そこで、平成22年度において、今後の産業雇用政策にとっての基礎データ獲得のための分析を試みた。 2.[具体的分析内容] 就業の中核である製造業について、都道府県かつ24の産業毎(日本標準産業分類中分類に基づく食品製造業からその他製造業までの24製造業)に、その生産効率性と各生産要素(労働と設備資本)の余剰を調査・分析した。 3.[分析手法] まず、計量経済学の手法により産業毎の生産関数の推定を行った。具体的には、産出付加価値額を被説明変数、労働者数と設備資本額を説明変数とし、各パラメーターとRTS (Returns-to-scale)の推定を行った。その後、DEA (Data Envelopment Analysis)による分析結果の曖昧さを回避するため、推定されたRTSに基づき産業毎に採用するDEAモデル(CCR、DRS、IRSモデル)を確定したうえでDEAを実施した。 4.[分析結果概要] 製造業の生産効率について、西日本の各地域(特に四国地方)は相対的に高いパフォーマンスを示した;基幹産業(各種加工組立型産業含む)において、かつ、関東、東海、近畿地方といった経済規模の大きい地方において、大きな生産要素の余剰が確認された;全産業を通じて、250万人超の就業者の、13兆円超の資本設備の余剰が算出されたなど。
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