東アジアは地理的に近いだけではなく、多くの文化や価値観を共有している。そして近年中国経済の高度成長にともなって、東アジアの経済関係は急速に深まりつつある。2005年5月の日本の対中貿易額は対米貿易を上回っており、東アジア諸国におけるその傾向はますます強まっている。現在の東アジアは貿易と投資を通じて、実質的な経済統合が着実に進んでいる。 本研究は日本貿易振興会アジア経済研究所の「東アジア国際産業連関表」を主なデータソースとして、「東アジアリンクCGEモデル」を開発し、東アジアの経済協力に関してさまざまな角度から政策シミュレーション分析を行い、その効果を実証的・定量的に把握し、分析しようとするものである。 平成21年度には最適成長型動学CGEモデルを構築するために、ラムゼイ型理論モデルを提示し、そしてそれについての数値解法について考察した。具体的にはGAMSソフトを用いて非線形計画問題及び混合相補性計画問題による二つの解法を提示した。得られた研究成果は環太平洋産業連関分析学会第20回全国大会などで報告を行う形で公表し、また『長崎県立大学経済学部論集』に掲載された。
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