本研究は、通常学卒後40年以上に及ぶ就業可能期間において、様々な移動を繰り返しながら労働者がキャリアを積み重ねていく過程を、5つのキャリアステージ(学校・企業・NPO・創業・インターバル)を拠点に実証分析することを目的としている。 平成19年度は、採用において優位性を持たない比較的小規模な民間企業5000社を対象に、紹介予定派遣、第2新卒者の採用意向及び活用に関する設問を中心とする調査票調査を計画した。調査票作成段階で企業の人事担当者に事前ヒアリング等を実施し、調査内容の妥当性に関する議論を蓄積したところ、「実績がない」「(中途採用と)区別していない」という回答が多く、人事担当者への調査だけでは実態把握に限界があることが判明した。したがって、研究目的である入社2〜3年後の労働市場を整備し、この時点で意図的に人的資源再配置を行うシステムを検討するためにも、数少ない紹介予定派遣利用者、第2新卒枠での就業者に直接アプローチし、その個人属性やキャリアパスと共に考察する必要があること、同時に様々な転職のあり方の中での紹介予定派遣、第2新卒者の位置づけを掴む必要があることを認識するに至った。 そこで、調査対象に転職経験者を追加し、9月末に3484社に調査票を送付すると共に、そこで就業する転職経験者9761名にも調査票を配布した。その結果、620社及び929名からの回答を得た。以上の変更に伴い、新たに生じた転職経験者向けの調査票作成作業に時間を要し、実査が当初計画より2ヶ月遅延した。また、回収数が増加した分、その後のデータ入力、クリーニング等に時間を要し、これらの作業を終えたのが平成20年2月となった。この時点で、データの分析及び調査対象者への調査結果のフィードバックを年度内に完了することが困難となり、平成20年度に積み残して実施した。
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