本研究は、アジア、アメリカなどの各地域の取引時間帯に基づいたセグメントを設定し、円ドル価格形成における各セグメントの役割に関し研究を進めるものである。現在のところ、所属学部のワーキングペーパーとして公表したもの2点を含め、計4点の研究に関する論文を専門学術誌に掲載できるようよう準備を進めている。 主に得られた研究成果としては、円ドルの実現価格変化が一時的、恒久的であるのかを市場状態に結び付けて解釈することに成功したことである。市場取引の深度が高程度である場合、その状況下で生じる価格変化は合理的な情報を反映しており、したがってその価格変化は恒久的なものと判断される。そのようなことが、市場の取引実勢をより詳細に反映した高頻度データーを用いて研究を進めることで確認可能となった。 現在進行中の研究では、過去の価格変化、オーダーフローが現在の価格変化率の予測に役立つか否かを市場効率性の定義とし、市場効率性はどのような要因に依存するのかといった研究を進めている。このような研究を通じて、一日の全ての時間帯で市場が開場状態にある為替市場の特徴を理解することで、為替介入の最適タイミングなどといった政策的インプリケーションを提示することを究極的な目標とする。
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