本研究は、アジア、アメリカなどの各地域の取引時間帯に基づいたセグメントを設定し、円ドル価格形成における各セグメントの役割に関し研究を進めるものである。 一般的な証券市場とは異なり、円・ドル・ユーロといった主たる通貨は世界中で24時間常に取引されている。そこで本研究は、円ドル取引の三大マーケット(東京、ロンドン、ニューヨーク)を基準とした複数のセグメントを設定し、円ドル価格形成に各セグメントがどのような役割を果たすかに注目した実証分析を行った。 主に得られた研究成果としては、ロンドン市場とニューヨーク市場で同時に取引が行われる時間帯での為替レート変化は為替レートの長期的趨勢の形成に大きく貢献していることを発見したことである。つまりは、この時間帯において形成される為替レートはその効果が長期的に残存するという観点からすれば、経済の基礎的条件、その他為替レートに影響する情報を合理的に反映したものと考えられる。 それではなぜ特定の時間帯に上に述べたような傾向が顕著に観察されるのか。その原因を経済理論モデルの構築によって分析し、明らかとすることが今後の研究課題となろう。
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