研究概要 |
本年度は、財政競争について分析するための基礎モデルとして"Partial Privatization and Market-Opening Policies:A Mixed Oligopoly Approach"を完成させて、名古屋大学のworking paperとして公刊した。また、この研究を発展させた"Economic Integration and Strategic Privatization in an International Mixed Oligopoly"において、中国のような新興国が世界各国との民営化の程度を政策手段とする財政競争に参加した場合の消費者余剰、生産者余剰、社会的余剰が明らかにされると同時に、それらを財政競争に参加しない閉鎖的なシステムのもとで達成される社会的余剰と比較した。これによって、市場統合を通した財政競争に参加することによって国内の民営化の度合いが小さくなる可能性があることなどが示されている。前者の研究については、中国で開催された国際会議(ARSC-RSAC Joint Conference on Applied Regional Science (Peking University, China、2007年10月)、及びAll China Economics International Conference (Hong Kong, China、2007年12月))において発表した。また、国際会議に参加することによって、理論モデル構築に欠かせない中国の実態についての資料収集も行った。その他にも日本応用経済学会、関西公共経済学研究会、Western Regional Science Associationの年次大会等においても研究成果を報告してベースモデルの改善に努めた。
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