研究概要 |
昨年度、完成させた論文"Equalization transfers, fiscal decentralization, and economic growth"を国際学術雑誌に投稿し、査読者等とのやり取りを経て、FinanzArchiv誌に掲載した。また、財政競争に参加しようとする途上国を対象に先進国からのODAなどの財政移転のルール設定が、経済成長の貧困の罠を作りだす要因となる可能性を指摘した論文"Bifurcation arising from the Donor's Aid Policy in Economic Development"を作成し、国際会議にて報告した。この論文は、今後、種々の研究会等で成果公表し、研究水準の向上を図る予定である。 このような動学的側面に焦点を当てた研究と並行して、財政競争に参加する各国政府がどのような政策手段を採用して競争に望むかを動学ゲームの枠組みで分析するプロジェクトをスタートさせた。具体的には、大阪大学・赤井伸郎准教授、近畿大学・小川偵友准教授と共同で、政策手段を選択可能な2段階の対称財政競争モデルを構築し、それをまとめた論文を大阪大学のDPとして出版すると同時に、複数の学会や研究会で発表を始めた。また、昨年度よりスタートさせたWolfgang Eggert・独パターボン大学教授、三重大学・川地啓介講師との非対称財政競争モデルの繰り返しゲーム均衡に関する分析も、種々の研究会等での発表を通じて、研究水準の向上を図っているところである。 政策変数の選択問題を内生化した研究は、財政競争分野で未だ非常に限られており、これらの研究はこの分野における貢献となりうる重要性を有していると思われる。一通りの論文執筆は終えたので、今後は、順次成果を発表、および国際学術雑誌への公刊を果たしていく予定である。
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