地方公共団体が地方環境税を課することの効率性についてアカウンタビリティ理論の考え方を応用して明らかにすることを目的とした研究の2年目である。本年は、分権的に自己の利益を追求する政府が競争的に振舞う場合の地方環の率性について明らかにするための準備として、課税の限界費用と社会的厚生の関係を明らかにすることを目的に研究を遂行した。 課税の限界費用が1に近づくことにより、ゆがみのある租税を使った租税競争が効率性を改善しうるか否かを検討した。さらに、租税制度の効率性と資源配分の効率性の関係を検討した。 リバイアサン政府による租税競争が効率性に与える影響と、慈悲深い政府による租税競争が効率性に与える影響を比較するための準備として、課税の限界費用と社会的厚生の関係を検討した。 外部不経済の内部化(ピグー税)として環境税を捉え、慈悲深い政府が租税競争を行うことにより、資源配分の効率性が改善される可能性があることを示した。 分析結果を2008年12月に開催されたHong Kong Economic Association(成都)、およびAsia Pacific Economic Association(北京)において報告し、意見交換を行った。 本研究は、地方分権下において政府間に競争が生じている場合や国際的に国家間で租税競争が生じている場合に、この競争が資源配分の効率性を改善させる可能性があることを示した点において意義をもつと考えられる。
|