地方公共団体が地方環境税を課すことの効率性について、アカウンタビリティ理論の考え方を応用して分析し、分権的地方財政システムの下での地方環境税の効率性を明らかにすることを目的とした研究の3年目であり、最終年度である。 地方政府が租税競争を行うことは、地方税の税率引き下げ競争を誘発し、地方政府収入を低下させることで地方政府支出を縮小させる効果があることはよく知られている。租税競争がもたらすこのような政府支出の規模縮小の効果は、慈悲深いものとして政府を想定した場合には、政府による公共財の過小供給をもたらし、非効率的な資源配分となると理解されている。 本研究では、地方環境税を「外部不経済の内部化」手段としてのピグー税を地方政府が課税するとして定式化し、地方環境税を政策手段として用いて地方政府が競争するモデルを用いて、税制の効率性や資源配分に与える影響を検討した。 本研究の2年目において、慈悲深い政府が地方環境税の競争を行うことにより、税制の効率性が改善される可能性があることを示し、昨年度にはいくつかの会議において報告し、意見交換を行った。本年度は、昨年度の意見交換の結果を踏まえて、本研究成果を論文にまとめる作業を行った。論文としてまとめる過程においても、昨年度と同様に、意見交換を行い、本研究の成果を改善するためのアドバイスを得た。とくに、慈悲深い政府による租税競争が税制の効率性を改善する可能性があることを示したことは意義があり、重要性が高いとの助言を得た。 論文にまとめた本研究の成果は、現在、学術雑誌に投稿中である。
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