本研究は、近年のわが国の地方財政の現状を「地方団体が租税(とくに地方環境税)を政策手段として行政サービス提供の競争を行っている」として捉え、租税競争の枠組みにおいてアカウンタビリティの理論を応用し、地方団体による独自課税としての地方環境税は効率的な手段となりうるのかどうかを明らかにすることを目的とした。中央政府と地方政府とで保有する情報に格差があり、中央政府は地域住民の選好を性格には把握できないとすれば、地方政府が分権的に地方環境税を用いることは望ましい結果をもたらすとの結論を得た。また、慈悲深い地方政府による租税競争を地方環境税で行った場合の効率性の判断を「公的資金の限界費用」を用いて行うと、租税競争が効率的である可能性があることを示した。
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