本年は、ます、わか国の市場規律かりまく機能するよりになってきたか否かを検証し、情報開示の進展などで、外部から企業を評価しやすくなってきているという結果を得た論文をJournal of Applied Research in Financeから、「Did Market Reform make Risk Evaluation on Japanese Firms Easier?:An Evidence from Credit Ratings」を発表した。 次に、買収防衛策の導入が企業の株主価値にもたらす影響を改めて新しいデータ(2005年~2008年)を用いて検証した。その結果、アメリカの事例では、買収防衛策の導入は株主価値にマイナスのインパクトがあると評価されているのに対して、本研究では、わが国で導入された買収防衛策は、株主価値にプラスのインパクトがあると評価されていること、細かく見ると、系列企業では株主価値にプラスのインパクトがあると評価されているに対して、そうではない企業では影響がないことが明らかになった。現在は成果を海外の学術雑誌に投稿している。つまり、買収防衛策の用い方について、企業価値研究会などで議論がなされているが、本研究の結果は、こうした議論に基づいて行われている制度の整備などの政策が適切であることを示すものである。 最後に、敵対的買収のターゲットとなった企業についての分析を進めている。ターゲットとなった企業の主要な株主が、低い提示額の経営者に応じた場合、株主価値にどのような影響があるかを検証し、マイナスのインパクトがあることを発見した。成果を公刊する予定である。
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