研究概要 |
2007年度の中心的課題とした理論研究では、残念ながら動学モデルの構築には至らなかったが、静学モデルについては均衡の存在などの重要な発見があった。静学モデルとその性質は英語論文と日本語論文にまとめ、日本語論文については2007年度日本経済学会秋季大会において報告を行った。英語論文については、2008年7月に横浜で行われるAsianFA, NFA International Conferenceにて報告予定である。動学モデルの数学的な側面については2008年度も継続して取り組みたい。 当初は予定していなかったが、本年度は実証研究の方向で2つの大きな進展があった。まず、中央銀行による為替介のデータが本研究の市場観(情報非効率な市場)と整合的であることを神戸大学の岩壺健太郎氏との共同研究を通じて見出すことができた。本研究の前提とする情報非効率な市場を前提とすることで、為替介入の効果を整合的に説明できることを示した。この成果は2007年度日本経済学会春季大会において報告され、2008年6月カナダ経済学会でも報告される予定である。また、福井県立大学の佐野一雄氏との株価データ分析により、投資家行動の違いが時間帯による株価変動の違いに表れている可能性が見いだされた。この研究は2008年度行動経済学会で報告した。
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