研究概要 |
2008年度は証券市場の情報効率性に関する2つの実証研究のうち、福井県立大学の佐野一雄氏との共同を進め、データ期間を2000年から2008年までの9年間に延長して、時間帯による株式収益率の違いが有意であることをTOPIX、日経平均株価など6つの株価指数について示した。前場と昼休みめ1時間当たり収益率は後場および取引時間外の収益率と比較して有意に低くなっていることを確認した。さらに、この収益率差が投資主体による投資戦略と取引時間の違いによって引き起こされている可能性を検証するために、東京証券取引所が公表している投資主体別の売買データを用いて、特定の時間帯の収益率に特定の投資主体の売買が強く影響している可能性の分析を試みた。収益率データが日次データであるのに対し、売買データが週単位のデータであることから、説明力は十分ではないが、外国人投資家の売買の影響力が取引時間外に強まっている可能性が観察された。この結果は9月に行われた日本経営財務研究学会で報告した。まだ解決すべき課題が多く、2009年度も継続して研究を行う予定である。 神戸大学岩壷健太郎教授と共同で行っている実証研究は6月にバンクーバーで行われたCanadian Economic Associationの年次大会で、投資主体の情報戦略をめぐる理論研究は7月に行われたAsianFA, NFA International Conferenceにて報告を行った。
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