研究概要 |
当該年度において4本の論文の投稿,1本の論文の学会発表,1冊の図書の一部を作成した。取引方式の変更を伴う上場変更が企業価値に及ぼす影響について考察した論文は『現代ファイナンス』(日本ファイナンス学会学会誌),上場変更を伴わない取引変更が企業価値に及ぼす影響を考察した論文や新規株式公開時の取引方法の違いが資金調達コストに及ぼす影響について考察した論文はJournal of Financial Markets,新規株式公開時のマーケットメイカーの数が資金調達コストに及ぼす影響を考察した論文はApplied Financial Economics Lettersへそれぞれ投稿し,リバイズを行っている。新規株式公開時に取引の価格付けが異なる上海市場を対象に資金調達コストに及ぼす影響を考察した論文はマレーシアで行われた国際学会であるTHE 4TH SMEs IN AGLOBAL ECONOMY CONFERENCE 2007で発表を行った。取引方法を考慮したエクイティファイナンスについて中央経済社から出版予定の『資金調達とペイアウト』の「第4章エクイティファイナンス」を執筆した。現在,JASDAQはマーケットメイク方式の完全廃止などの検討を行っている。こうした状況に対し本研究結果は,取引方法の変更,上場変更を伴う取引方法の変更,新規株式公開時の資金調達コストなどにおいて,企業価値向上の観点から取引の少ない小規模企業向上の観点からのみにでもマーケットメイク方式は持続するべきである,という制度的示唆を一貫して示している点で大きな社会的意義がある。
|