研究課題
昨年提出した交付申請書中の「本年度の研究実施計画」に基本的にもとづいて、本年度の研究は遂行された。第一に、小出銀行の経営史的研究について、学術雑誌『経営史学』に投稿した論文が平成21年3月に返送されたのを踏まえ、加筆・修正を施し題目も「国用糸金融と地方銀行-小出銀行のビジネス・モデル-」と変更し、最終原稿を提出した。同論文は22年9月の第45巻第2号に掲載予定である。第二に、同論文と同じく19年の学会報告を基礎にしつつ、外国人向けに内容の大幅な改訂を行いつつ執筆した論文"A Business Model of Silk Filature Financing by Local Banks-The Case of the Koide Bank-"を同学会の英文誌Japanese Research in Business Historyに提出していたが、その修正を経た最終原稿が(形式上は2008年度のものとして)本年3月に刊行された。第三に、上記2論文の作成過程において、その中心であった小出銀行と中越地方の他の地方銀行との資金貸借関係を、「インターバンク市場」という視点から捉えることが可能ではないかという問題意識が形成されていた。21年6月に、その半年後に開催されるTCERコンファレンスでの報告を要請されたため、上記の問題意識をもとに資料収集とその整理・分析を行い、本年1月に論文「銀行条例体制下における地方銀行間の階層構造の形成-明治~大正期新潟県中越地方の金融市場-」をディスカッション・ペーパーにまとめた上で、同じ題目で報告した。第四に、明治~大正期における新潟県の石油産業の展開について、巨大原油採掘業者中野家と、同家から原油供給を受けて事業を展開した個人石油精製業者についての資料収集と整理・分析を進めた。本年度は中野家自体の事業展開をまとめ、12月の政治経済学・経済史学会北海道部会で「明治後期~昭和初期における中野家の原油採掘業と原油販売」と題して報告した上で、同名の論文を紀要『経済学研究』第59巻第4号に投稿し、本年3月に刊行された。
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Hokkaido University Graduate School of Economics and Business Administration Discussion Paper Series B No.2010-84
ページ: 1-19
『経済学研究』(北海道大学) 第59巻第4号
ページ: 17-37