研究概要 |
本研究の目的は,多様な経路を辿って展開した近代日本における機械工業について,「地方機械工業」の視点から明らかにすることである。これまでの研究では,特に大都市工業圏(東京・大阪など)にみられない様々な特徴を有する在郷の鉄工所や野鍛冶等に着目して検討を進めてきた。本研究では,地域史を基礎とした国際比較・関係史の視点から「地方機械工業」の発展を検討し,日本機械工業の相対化を目指す。具体的には,(1)アメリカ農業機械工業の分析〜中小農業機械メーカーの展開〜と(2)在米日本商社の機械取引〜三菱商事・西海岸支店の諸活動〜の2つを軸に,日本・米国・アジアの各地域の地方機械工業の比較・関係史的研究に取り組み,国際的な視点から多様な工業化のあり方・経路を実証的に明らかにしたい。 研究開始年度である平成19年度は,国内外の資料調査と文献収集に力を注いだ。本研究の成否は,アメリカ農業機械工業(インターナショナルハーベスター社および中小農業機械メーカー)と在米日本商社(三井・三菱・大倉・安宅など)の資料調査が鍵を握っており,この2点に関する資料調査を積極的に実施した。特に国内に残存する史料に加えて,アメリカ合衆国国立公文書館所蔵の三菱商事(RG131資料)に関する史料について整理を進め,次年度以降の具体的検討・考察の環境を整えることが出来た。また本年度は,本研究に直接関係する学会・研究会へ積極的に参加し,研究成果の共有・発展に取り組んだ。
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