本研究は、中国の資本市場を産業金融の転換システムとして、中華民国以来現在に至る長期的かつ歴史的把握から捉えなおすことにより、民国期の資本市場と産業金融にかかわる研究の深化・拡大を図るものである。その意義は今日における中国の金融改革の方向性に対してのみならず、これまで個別に捉えられていた東アジアの金融・証券市場についてもよりグローバルなネットワークの形成の角度から整合的に捉えなおす契機を提供することにある。本研究は、中華民国期に著しく発展を見せた化学産業・電力産業・セメント産業などの重工業に即して、その産業金融と資本市場との関係について、実証的に検討したものである。
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