今年度も昨年度同様に、当初にあげた研究目的および実施計画にもとづき研究を進めてきた。今年度の主な研究内容は次の2点である。一つ目は、昨年度より行っているパキスタン財閥の出自に関する研究である。パキスタン経済界で、1980年代以前とそれ以降で活躍する財閥の出自大きく変化が見られる。パキスタン経済界で企業家(あるいは財閥として成長する)として成功するためには、企業者のもつ職能だけではなく人脈関係が大きく左右する。パキスタン経済界で、どのような人脈関係(政治家・官僚・企業家+出自(=出身地)+所属コミュニティ、etc.)が存在するのかを彼らの出自およびコミュニティ等の観点から検討を行った。それらの研究は、「経営史学会第44回全国大会」(2008年10月開催)と「南アジア研究会(2008年12月開催)」で報告を行った。しかし、パキスタン経済界における人脈関係を明らかにするには、まだまだ時間が必要であり今後とも継続し研究を行っていく。 二つ目は、イスラーム諸国における財閥の形成発展過程における比較研究である。具体的には、昨年度同様に今年度もドバイでの調査を実施した。比較研究もまだ始まったばかりであり、今後も資料等の収集及び聞き取り調査等を継続し行っていきたい。
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