本年度の主な研究活動は、次の2点であった。一点目は科研費による3年間の研究成果を発表すること。二点目は数年前から行ってきた現地(ドバイ)で調査を実施し、現地での資(史)料収集を積極的に行い、資(史)料の蓄積を図ること、などであった。 一点目についてであるが、本年度は本研究の最終年度である。科研費申請時に提出した「研究計画」に記したとおり、これまでに得た図書文献からの知識および現地調査で得た情報および資(史)料等をもとに論文の作成に力を入れた。その結果、今年度は「ハビーブ財閥の形成と発展に関する一考察-ダーウッド・ハビーブ・グループの所有と経営の問題を中心として-」「社会科学」第85巻(同志社大学人文科学研究所、2009年)を含む3本の論文を発表することができた。 また、二点目についてであるが、本年度も世界情勢の変化を考慮し、またイスラーム諸国に存在する財閥の比較の観点から、昨年度同様にドバイでの現地調査を実施した。ドバイにもファミリー(一族)が支配する財閥が多く存在する。今年度も商工会議所図書室および企業の事務所等を積極的に訪問し資(史)料の収集に努めた。現地調査で得た資(史)料は、今後の研究に活かしていきたい。 現在、イスラーム関係の研究は多くの分野(経済、金融、文化、宗教、etc.)でなされている。しかし、イスラーム諸国に存在する企業(特に財閥)に焦点をあてて行う研究は、数えるほどしか存在しないであろう。今回「イスラーム諸国における財閥の形成・発展過程に関する一考察」をテーマに3年間にわたり研究を行ってきた。今回の研究は、イスラーム諸国に存在する企業研究のスタートであり、研究課題が終了した後も継続し研究を行っていきたい。
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