本研究の主な成果は、パキスタンおよびドバイに存在する個々の財閥(特に本研究では、パキスタンではハビーブ財閥とアダムジー財閥、ドバイではアルフテイム財閥)の形成・発展過程についての特徴を明らかにしたことである。 具体的には、(1)ファミリー(財閥一族、以下ファミリーとする)による企業経営の支配構造(ファミリービジネス)。パキスタンおよびドバイに存在する財閥はある特定のファミリーが中心となり傘下企業の経営が行われており、ほとんどの傘下企業にファミリーが何らかの形(株主、役員)で関与していること。 次に、(2)ファミリー内における後継者の育成について。パキスタンおよびドバイに存在する財閥の多くが商業(貿易)を生業としてきたファミリーが多く、一昔前まではファミリー内あるいはコミュニティ内で教育を行っていた。しかし、現在ではアメリカやヨーロッパなどの高等教育機関で教育を受けさせている。ファミリービジネスに必要となるファミリーの人材育成を内部で行っていたものを外部で行うようになっている。
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