研究概要 |
本研究は現在の経営教育システムの改善を目的に,2つの具体的な取り組みを予定していた.そのうちの1つである,ドイツにおける経営理論総合化の動向については,ボーフム大学のシュナイダーの主張を19年度において整理することができた.ドイツにおける経営理論総合化の歴史を振り返った際、避けて通ることのできない経済理論的方向の代表としてのシュナイダー学説の一端を考察できたことは、今後の経営理論のあり方を検討する上で大きな意義があったと思われる. また社会科学・行動科学的方向の代表者の一人であるゲッティンゲン大学のシャンツの最近の主張も19年度から扱い始めており、管理論を神経科学的見地と結びつけた「神経科学的経営経済学」の全貌を20年度において明らかにしようと考えている.シャンツの行動理論的経営経済学から神経科学的経営経済学の学説的展開は日本でもまだ多くは紹介されておらず、この考察も経営理論のあり方に一石を投ずるものと予想される. またもう1つの課題である,ドイツの経営教育機関の実状の調査については、マンハイム大学経営経済学部・一般経営学、人事制度、労働科学講座のW.A.エクスラー教授の協力のもと、19年度6月からマンハイム・ビジネススクールのウィークエンドMBAコースの講義に数回参加させていただき、カリキュラムの仕組みや特徴を知るとともに、教室内での実際の学生の雰囲気を感じ取ることができた.また学部のカリキュラムにおいても同講座の推進している英語によるインターナショナル・マネジメントの講義にも参加させていただき、世界中から集まった留学生を中心に、人的資源管理の国際化に関する問題をテーマに学生の討論を直接聞くことができた.ヨーロッパにおいて特に注目されるマンハイム大学経営経済学部の進めている経営教育システムの国際化については、さらに次年度以降も可能な限り調査を続けていく予定である.
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