本研究の目的は、米国企業と比較しつつ日本企業における親会社-子会社間の資本関係の多様性の形成要因に関して実証的に明らかにすることである。本年度は、1985、1990、1995、2000、2005年度における日本の上場関係会社を対象とし、(1)大株主である親会社が上場関係会社のパフォーマンスへどのような影響を及ぼしているのか、(2)親会社が上場関係会社のパフォーマンスへ与える影響はどのような要因によって変化するのか、について実証分析を行った。 分析の結果、(1)については分析時期により著しく異なることがあきらかとなった。具体的には、1985、2005年度については他企業あるいは親会社以外の大株主が存在する企業と上場関係会社のパフォーマンスには差がみられなかったのに対し、1990、1995年度と2000年度の一部において上場関係会社のほうがパフォーマンスが低いという結果が得られた。 つぎに、(2)については、2000年度から2005年度にかけて、高パフォーマンスの企業が新たに上場関係会社なったために2000-2005年度間の上場関係会社のパフォーマンスが変化したことが明らかとなった。また、1985-1990年度間については、上場関連会社についてのみ親会社の低パフォーマンスによって富の収奪が行われ、その結果として上場関連会社のパフォーマンスが低下したことを支持する結果が得られた。
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