研究概要 |
本研究の具体的内容は,専門職やナレッジワーカーのチームイ作業における多技能化の実態を解明するとともに,その多技能化をサポートすると考えられる人的資源管理や多技能化と組織成果の関係等を明らかにすることである。平成21年度における研究実績の概要は以下の3点に要約できる。 第1に,質的調査法を用いた本調査を行い,デイサービスセンターにおける看護師や作業療法士の多技能化の具体的内容とその多技能化を促進する人的資源管理に関するデータを収集した。これまで調査研究を行ってきた病院というフィールドに加えて,社会的な重要性が増しているデイサービスの職場へのチーム作業や多技能化の適用可能性を検討した。この分析結果の一部は,『りゅうぎん調査』において公刊した。 第2に,A病院の職員(約250名)を対象とした量的調査法を用いた本調査を行い,多技能化と人的資源管理の関連性を紐解くためのデータを収集した。そこでは,例えば,多技能化の重要な一側面を捉えうる組織市民行動と人的資源管理への応用可能性が期待されるソーシャル・サポートの関係性について分析を行った。この分析結果の一部は,『Working Paper Series』(和歌山大学)において刊行した。 第3に,チーム作業,多技能化,人的資源管理,組織成果の関連性を明らかにするために,7病院の職員(約320名)を対象とした質的調査法と量的調査法を併用した本調査を行った。チーム作業や多技能化については量的調査法を中心に,人的資源管理や組織成果については質的調査法でそれぞれデータの収集を行い,それらのデータを統合して分析を行っている。この分析結果は学会誌等に投稿する予定である。
|