全国の家電リサイクル事業者について、国内大手家電メーカーからの出資関係および再資源化業務の受託関係について公表データ (ウェブサイト、事業報告書など) に基づいた整理を行った。それを元に、受託側の事業者についてのヒアリング調査を実施した。松下エコテクノロジー (株) (現・パナソニックエコテクノロジー (株) ) 、関西リサイクルシステムズ (株) 、アクトビーリサイクリング (株) 、テルム (株) である。これら事業者へのヒアリング調査で分かったことは、AグループとBグループにおける受託事業者の動機付け要因の違いである。Aグループでは、主導的立場の企業がリサイクル技術全般を提供し、受託側はその範囲において処理効率の向上を競い合う関係にある。受託事業者が発案した処理技術を導入する際には、主導企業からの承認を要する。事業者は、お互いに競争関係にある。一方で、Bグループでは、受託事業者の組合的な組織が存在し、企業間で処理技術アイデアの交換の場が定期的にもたれている。処理品を引き受ける地域が予め定められているため、事業者間での競合が発生しないため、そのような互助関係が可能になっている。以上のように、A・B両グループの間には、リサイクル技術開発と事業運営に関わる組織間関係の構造的な違いがあることが分かった。いまの段階では、それを集約型と分散型として内容の精査を進めたい。また、家電リサイクルに関わる製造事業者の立場の違いが、受託事業者との関係にどのように影響しているのかについても考察していきたい。
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