平成21年度における研究成果は、家電再商品化事業におけるA・Bグループそれぞれの協働戦略について、その特徴を整理したことにある。前年度の調査においては、リサイクル事業システムのパターンを「家電企業主導型」「素材企業協働型」「産廃・プラント企業協同型」「全面委託型」として整理した。本年度は、分析単位をリサイクルグループに移し、そのグループが再商品化について、どのように機能しているのかを調査した。本研究では、Aグループは「ハブ&スポーク型」、Bグループは「相互ネットワーク型」と特徴づけられることが示された。さらには、これら2つのグループによる再商品化技術開発を関連する特許取得件数で比較した。また、再商品化技術開発でAグループの中核企業の動機付けについて、各企業の家電事業の製品別国内外市場シェアや各社の売上高全体に占める家電事業の比率などのデータから検証した。ただし、再資源化の効率化を設計段階で考慮していない家電製品が、市中の多数を占めるという現状を踏まえれば、「相互ネットワーク型」の協同戦略の方が、技術開発のスキームとして有効ではないのかという仮説を設定し、次年度の調査に課題として含めることにした。 年頭の調査計画においては、欧米およびアジア市場における日本家電企業の環境戦略について整理していくという目標を掲げていたが、それにはまだ着手できていない。今年度は、家電事業者本体への取材を中心に、海外における再商品化事業について整理していくことになる。
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