平成22年度の研究では、まず、各家電事業者単位での廃家電製品の再商品化実績に関する比較検討をおこなった。平成13(2001)年から、家電リサイクル法に則って運用されてきている本制度の再商品化実績は、全体的には逐次向上している。だだし、AグループとBグループという再商品化グループに分けた同実績では、両者の間に隔たりが生じでいる。具体的には、BグループがAグループよりも高いパフォーマンスを発揮していることが分かった。再商品化される資源を社会の共通財産であるという観点に立てば、このようなグループ間の差が生じることは、社会的な損失を拡大させてしまっていることと見なすしうる。ここでは、再商品化率の現状を個別の企業と再商品化グループの単位で把握し、それぞれの再商品化グループが解決するべき課題について指摘した。 つぎに、日本の家電事業者の外国における廃製品回収と再資源化事業への取り組みについての把握に取り組んだ。各家電事業者は、国外で市場を求めるに当たり、対象国・地域における廃製品の回収・リサイクル法令上の義務を負うことになっており、基本的にはその定めに則した事業を行っている。ここでは、欧州、米国、中国という日本の家電事業者にとって重要な市場における廃家電(電気・電子機器)の回収・リサイクル制度について整理した上で、それら地域における日本家電事業者による事業の事例を記述した。各国・地域は、日本の家電事業者にとって、リサイクル技術・ノウハウの優位性を発揮できる機会である。また、環境・資源保全という側面から企業ブランド戦略を展開するべき市場でもある。今年度の研究を通じて、各家電事業者のグローバル経営戦略が製品リサイクルを含めた環境戦略とどのような相互関係を持たせながら展開されているのかを鯉検討する必要があることを指摘することができた。
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