この研究は、日系家電事業者のバリューチェーンが、都市鉱山のリサイクル事業分野にまで拡張していることを示した。この事業は、主に家電事業者とリサイクル事業者との連携によって実施されている。各事業者は、家電リサイクル法の下で、2つのグループに分かれて事業を遂行しているが、両者の間には再商品化率の差がある。その差は、関連技術の開発と普及のための組織間連携の形態の違いにあると指摘した。また、海外の国・地域において、国内の事業経験で得られた技術・ノウハウを移転している事例が数社に留まっていることを示した。以上によって、これら拡張的なバリューチェーンの特徴と課題を明らかにした。追加的な調査として、日系家電企業のグローバル経営戦略において、廃家電の再商品化事業がどのように位置づけられているのかを明らかにする必要がある。
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