本研究の目的は、製品開発および研究開発に関する技術知識が、いかにして組織内の他の技術者に移転するのかについて調査を行うものである。それを検証するために、主に二つのアプローチを採用している。 ひとつは、電機・精密機械産業に属する企業について公開された特許に基づいて、特許の発明人を追いかけた特許マップ・データベースを構築することである。ここでの趣旨は、発明人を追いかけることによって、知識が組織内及び企業間においてどのように移転し、活用されているのかを知ることができるというものである。もうひとつは、同産業に属する特定の企業について、質問表調査およびインタビュー調査を行い、実際に技術者間の知識移転がいかなるプロセスを経て行われているのかについて調査を行うものである。これによって、発明人をベースとする知識移転マップとの関連性を確認することができるとともに、特許データからでは得られない補足的なデータを得ることができると考えている。 成果としては、インタビュー調査を行い、データを回収した。それと同時に、同企業の発明人ベースでの特許マップを作製し、インタビュー調査におけるネットワークとの相違について分析を行っているところである。また、特許マップを作製することによって得た特許データを用いて化学産業の技術開発動向について分析し、論文を書き上げた。これは刊行された『経営力創成の研究』の第8章に掲載されている。
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