1. 経営支援の具体的状況の把握 NPOが事業を行うに際して、金融機関等から融資という形で資金を調達する事例が近年みられるようになった。NPOには資金面の支援に加えて経営の指導助言も必要と指摘されている。そこでNPOやコミュニティビジネスに融資している銀行や、自治体、中間支援組織、NPOなど全国40団体を訪問し、NPOにいかなる融資と支援をしているのか聞き取りを行い、実態の把握に努めた。調査の結果、NPOへの指導助言は顕著な効果を挙げていることが判明した。この調査結果は日本NPO学会大会にて報告した(後日、論文を発表予定)。 2. コミュニティ投資に関する理論的整理 社会的責任投資(特にコミュニティ投資)に関する資料を収集し、論考「社会的責任投資(SRI)の現在」にまとめた(2009年度に刊行予定)。 3. 日本のマイクロファイナンスの現状把握 上記1の調査の際にこの件も併せて質問し、文献収集も行った。その結果、日本において厳密な意味でのマイクロファイナンスの実践例はほとんど存在しないことが判明した。他方、本研究の直接のテーマではないが、貧困層住民への少額貸付制度はマイクロファイナンスの近接領域として、昨今の社会情勢を背景に注目を集めている。そこで、間接費を用いて公的制度(生活福祉資金貸付制度)と民間実践(多重債務者支援貸付)の現状に関する委託調査を実施した(2009年度に成果刊行予定)。 4. アメリカのCDFIの予備調査 コミュニティ開発金融機関(CDFI)は貧困地域の振興を目的としてNPOなどに融資する非営利金融機関の総称である。CDFIはアメリカでは近年著しく成長し、NPO融資に関するノウハウを蓄積しつつある。2009年度の本調査に先立ち、3月に予備調査としてワシントンDC、フィラデルフィア、シカゴの計10団体を訪問した。
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