研究課題
本研究の目的は、大規模で所与の構造を持たないコミュニケーションデータから説得プロセスに関する有用な特徴を明らかにする枠組み、分析手法を提案し、企業の債権回収に関わる会話データの解析を通じて提案手法の有用性を検討することである。本年度は、説得コミュニケーション、人工知能におけるテキストマイニング研究のレビューを行い、コミュニケーションプロセスのモデル化を行った。従来、人々のコミュニケーションやテキストデータの解析には、単純な内容分析などが用いられ、大量データに適用可能な方法論は十分に検討されてこなかった。また時系列データの特徴を用いた解析手法はほとんど利用されていない。大量かつ時系列のコミュニケーションデータから有用な知識を発見することができるモデルは重要な理論的意義をもつと考えられる。我々は人々のコミュニケーションモデルとして、川下りモデルを提案し、実際の企業におけるコミュニケーションデータを用いて実験を行った。特に債権回収に係るオペレーターと顧客とのやり取りから、説得を効率的に行えるコミュニケーションプロセスを大量データの中から抽出した。我々の提案した方法論は、従来の内容分析などでは扱えない大量データ、さらに時系列の流れを定量的に解析することができ、重要な理論的貢献をもつ。しかしながら、重要なキーワードグループを発見するために用いた因子分析は改善の余地が残った。来年度以降、専門家によるキーワードグループの作成などを取り入れ、より精度が高く、専門家にとって有用な解析モデルの開発を目指す。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)
人工知能学会論文誌 Vol.22,No.2
ページ: 239-247
Soft Computing, Springer-Verlag Vol.11,No.8
ページ: 811-817
New Frontiers in Artificial Intelligence, Springer-Verlag LNCS 4384
ページ: 360-373