研究課題
本研究の目的は、大規模で所与の構造を持たないコミュニケーションデータから説得プロセスに関する有用な特徴を明らかにする枠組み、分析手法を提案し、企業の債権回収に関わる会話データの解析を通じて提案手法の有用性を検討することである。本研究は、単語の利用頻度といった静的な文章の特徴だけでなく、動的なコミュニケーションプロセスの特徴を明らかにする枠組み、分析手法を提案する。本研究は、説得コミュニケーションプロセスのモデル化から、解析システムの開発、実データによる実証までを行う包括的なテキストマイニング研究である。本年度は解析手法の開発ならびにシステム環境の構築を行い、会話プロセスの特徴の定量化と大規模データに耐えうる計算速度を実現した。文章解析アルゴリズムに関して、広島市立大学の砂山研究室と共同研究を行い、英文学術研究書『Data mining for Design and Marketing』(CRC Press)の一部(11章)として刊行することができた。会話データのような多次元時系列データの解析技術として、PRISMなどの新しいシステムを実装し、既存システムの効率化、高速化をはかった。開発したシステムは既に債権回収のための十分な予測精度を持ち、本提案の当初の目的は達成したということができる。したがって、次年度以降は本研究で既に開発した多次元時系列解析技術をコミュニケーションデータ以外のデータに適用し、新しいアプリケーションを開発する発展研究にも注力し、構造・非構造データの両者を扱える解析技術の開発と応用を検討していく。
すべて 2009 2008
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Proc. of 2008 IEEE Conference on System, Man and Cybernetics, IEEE Press
ページ: 3514-3518